Spiral-World

めくるめく世界での個人的な日記

倣う

ある時期までを口にできない言葉があった。

 

おはよう、こんにちは、こんばんは、

は自然に言えるが、

ありがとう、ごめんなさい、お願いします、が、

なかなか言えなかったのだ。

 

それは吃音とかの疾患ではなく、

習慣や自我の問題だったと思う。

 

反抗期の頃はワケもなく忌み嫌っていたが、

社会人となって否応なく、

それらの言葉を口にする機会が増えた。

それに従って、新たな問題が表出。

 

それらの言葉に「心がこもっていない」と、

気づいてしまった(笑)

特に経営者との役割を持つようになってから。

 

「ありがとう」

 

それがとても素晴らしい言葉だと教えてくれたのは、

元春だった。

 

20〜30代の頃はライブに頻繁に通っており、

いろんなアーティストの「ありがとう」を耳にした。

その中あってもっとも印象的だったのが元春。

 

曲の終わりごとにではなかったが、

アンコールの始まりや、

最後の曲を歌い始める前のMCで、

客席に向けて「どうもありがとう」と語りかけてくれた。

youtu.be

その表情と声がなんともカッコ良くて。

いつかあんなふうに自然に、しかも心を込めて、

「どうもありがとう」と言えたらなぁっと思った。

 

今やありとあらゆる場面で、一日に何度も、

ありがとう、ごめんなさい、お願いします、

と口にしている。

 

でも、あの頃に観たライブの時の元春のように、

それを聴いた相手の心が暖かくなるような、

「どうもありがとう」は一度も言えてないと思う。