実家へたどり着いてシャワーを浴び。
着替えたものを洗濯機へ入れよううとすると、
おふくろが声を掛けてきた。
「先月あたりから洗濯槽の中に、
何かが漏れるようになって」
覗き込むと確かに何かが漏れている。
それを指先ですくって匂いを嗅ぐと、
オイルのようで。
「もう17年くらい使ってるからね。
でも、それ以外はちゃんと動いてるのよ」
「いやいや、もう使わない方がいいよ」
「修理とかできないかしら」
「17年も前のだとほぼ無理だね。
部品があったとしても修理代で新品が買えると思う」
そうよね、と言ったきり話が途切れた。
新しい物を買うと言わないのは、
金銭的な問題以上に、
自分の先行きを思ってのことだろう。
それに気づいて、ちょっと寂しくなった。