KYSと飲んだ。
もっぱらGWツーリングの話題で盛り上がり、
仕事やこれからの生活などについても少々。
「定年後がやたらとリアルになって来たわ」
その言葉には「好きな時に好きなことを」といった、
楽観的な雰囲気は皆無で、
むしろ不安が大半を占めているように感じられた。
「今のところ再雇用をしてもらえるみたいだし、
まったく先が見えないワケじゃ無いけど」
持ち家でローンはすでに完済。
今でもテニスや野球を続けており、
バイクでも仲間がいる。
悠々自適とまでは言えずとも、
よほどのことがなければ孤立や困窮はしないだろうし、
KYSもそれを不安視はしていないだろう。
ただ、奥さんに先立たれてしまったことが、
ヤツにとってあまりにも大きいのだと思う。
「今回の北海道ツーリングでもさ、
お前が遺灰を散灰してくれた所へ行けるかな?」
話題がシーズンのツーリングに戻ると、
KYSが確認するように言った。
「うん。行くよ」
「そっかそっか。ありがとな。
それ以外にリクエストは無いから。頼むわ」
言葉にせずとも伝わることがある。
それがボクの勘違いであろうと、
それで良いのだと思う。