「いやぁ、ごめんね」
MSKさんは申し訳なさそうに何度も詫た。
「いえいえ。良いんです。ホントに」
そのうちに、と約束していた「ボヘミアン・ラプソディ」を、
奥さんと観たのだという。
「良かったよ、すごく」
感想を聞くまでもなく、
大ヒットしているとの評判は耳に届いているし、
地元でも多くの人が観たのを知っている。
でも、だ。
この映画を一人で観る気になれない。
と言うのも、ボクはQueenが好きではないから。
当時も、今も。
数々の名曲は知っているし、
良いバンドであることは否定しない。
でも、好きじゃないのだ。
実験的で、壮大で、ゴージャス。
で、それぞれが過剰な感じ。
この映画が公開されるずっと前に、
MSKさんとQueenについて話し、
同じような印象を持っている事が判明。
似た者同士であれば温度差も少ないだろうと、
一緒に観に行く約束をしたのだが・・・。
おそらくこの一件でボクは、
直接的にQueenに触れる最後のチャンスを逃した。
でも、ご縁って、そんなものだよね。