「日本ボロ宿紀行」の最終回を観た。
軽い廃墟マニアだったり、
ミッドセンチュリー生まれだったり、
メレンゲ好きだったり。
このドラマを気に入ったそれらしい理由はいくつかある。
でも、決定打は高橋和也さんと彼が演じた桜庭龍二が放った魅力だ。
売れない時間の長さに比例して、気位ばかり高くなるオヤジ。
一発屋ならではの不遜さと、その裏に抱えた不安。
それを見事に演じられていた。
誤解を恐れずに、さらに、劇中のセリフをパクって言うなら、
カッコいいだけの俳優さんはいくらでもいる。
でも、演技でドラマを感じさせられる俳優さんは多くない。
桜庭龍二が歌う「旅人」が象徴的で、
メロディも歌詞もそこそこ良いのに微妙にズレていて、
歌い方や衣装や振り付けでその痛さと、
それにすがりつくしかない一発屋の悲喜こもごもを存分に表現されている。
カッコ良く見せて、カッコ良く聴かせるのは、
ある意味、難しくない。
でも、カッコ悪さを自然に表現するのは、けっこう難しい。
高橋さんはそれができる俳優さんだと思ったし、
そのポテンシャルを余すことなく引き出したスタッフもスゴい。
お世話になった事務所の社長と、その娘であるマネージャー。
ボロ宿の狭い部屋で大切な2人への想いを込め、
アカペラで「旅人」を熱唱するシーンはグッときた。
だからこそ最終回は少し物足りなく、
時間延長の拡大版で観たかったと思ったほどだ。
深夜ドラマではよくあることだが、この作品はその中でも特別。
終わっちゃうのはかなりさみしい。
続編やってくれないかなぁ・・・。
あっ、この前も書いたけど、「旅人」のCDが出たら買う!(笑)