子グマ。
ぬいぐるみでもなければ、檻の向こう側でもなく。
道路左側の路側帯から顔をのぞかせていたのは、
本物の、野生の、野良グマ。
かなりスピードを落として横を通過したが、
まったく逃げる素振りもなく。
どうしたものかと思案して、
少し先にある駐在所へ立ち寄った。
若いお巡りさんに伝えると、苦笑いしながらひとりごちた。
「また出ちゃったかぁ。今年は多いなぁ」
体長は1.2〜1.5mほど。
親グマの姿はなかったが、
けっこう近くで道路工事をしているので心配になった。
「ありがとうございます。
役場にも知らせて対応しますね」
「対応って、いきなり猟友会とかですか?」
「民家に近いとか、人に被害が出ちゃうとマズイですね。
このままどっかに逃げてくれていると良いんだけどなぁ」
2人してしばらく沈黙。
2度目の野良グマとの遭遇に驚きつつ、
人間はもちろん、熊の無事も願った。