その手紙は世界的に知られていながら、
長らく意味不明とされてきた。
アメリカを震撼させた連続殺人鬼「ゾディアック」は、
1968年から74年にサンフランシスコ市内で少なくとも5名を殺害。
犯行後に警察やマスコミへ多量の犯行声明文や暗号文を送るなど、
「劇場型犯罪」としてあまりにも有名であり、
犯人が逮捕されていないミステリアスさから、
書籍や映画でも数多く取り上げられてきた。
その犯人から送られてきた暗号文4通のうち、
1通はすぐに解明されたものの、
残りの3通は解読されぬまま50年以上の時が過ぎていた。
今回、解読されたとされているのは、
1969年11月に届いた340の文字・記号による暗号文 「Z340」。
オーストラリアの数学者ら3人が、
スーパーコンピューターを利用して暗号解読に成功したという。
その主な内容は下記のようなもの。
「私を捕まえるため楽しんでほしい」
「テレビ番組に電話出演したのは自分ではない」
「その人物はガス室を恐れていると述べたが、
死ねば楽園に行けるので自分はガス室を恐れていない。
近いうちに天国に連れていってくれるから」
この解読成功のニュースには、
全世界から真偽を問うコメントが寄せられているようだが、
FBIが今回の暗号解読を認定する声明を出したとの報道もあり、
さらに話題を呼んでいるようだ。
ただ、1970年に届いた 暗号文のZ13 と Z32 は短すぎるため、
他に情報がなければ解読はできないと考えられている。
さらには、犯人の特定には至らず、大きな謎は残されたまま。
この事件について知ったのは映画だった。
デヴィッド・フィンチャーによる「ゾディアック」は、
全体的にとても静かに物語が進むが、
ひんやりとした不気味さと緊張感に溢れた名作で、
今でもたまに観てしまう。
シリアルキラーの犯行動機にあまり興味はない。
だって、聞いたところで理解のしようもないだろうから。
ただ、どんな人物だったのかは、できれば知りたい。
その願いはたぶん叶えられないだろうけど。