「戦前の予想、期待を遥かに下回る試合ぶりで」
防衛戦を終えた井上尚弥選手は、
ほぼ無傷の顔で笑いながら言った。
「本当に申し訳ありませんでした」
いやいや。
この御方、何をおっしゃっているのやら。
さっぱり意味が分かんないッス。
確かに、ボクも「3RまでにKO」と予測した。
でも、それは、これまでの井上の闘いぶりと、
対戦相手の世界ランクを秤にかけての希望的観測。
攻防のすべてでハイレベルな井上に対し、
攻められる時間帯をじっとこらえ、
時折、破壊力のあるパンチを繰り出して局面打開を狙う。
挑戦者のディパエンは、そういう闘い方を選択。
これまでも井上と対戦した多くの選手は、
多かれ少なかれそういう闘い方をしていたが、
井上は、それでもなおKOの山を築いてきた。
特に、Sフライ級7度目の防衛戦で、
ボワイヨに3R 1:40でTKO勝を飾ったのに続き、
マクドネルを1R 1:52、パヤノを1R 1:10、
ロドリゲスを2R 1:19で倒したことで、
ファンにとって良くも悪くも、
井上のバケモノっぷりが平常となり(笑)
今回の対戦相手であるディパエンはIBF5位と、
ここ最近の対戦相手としては確かに格下なのだが、
ほぼ無傷でのKOにも関わらず「手こずった」と、
メチャクチャな評価をされるに至っている。
「淡々とタフさを出してきた。
こっちがメンタルやられそうだった」
井上がそう苦笑いしたように、
一方的な内容だったものの、
ディパエンのタフネスには驚かされた。
ま、そのおかげで、
井上のパンチやディフェンスなどを、
存分に堪能できたのでうれしいが。
「ドネアとの試合もあれば、
Sバンタム級も視野に入れたい」
我らがモンスターは今後についてそう語った。
どっちにしても楽しみだ。
今回も素晴らしいボクシングを、
ありがとうございます。
おめでとうございます。