Spiral-World

めくるめく世界での個人的な日記

恐怖の原点

「激突」を観た。

番組表にタイトルを見つけた時、

もしかしてリメイク版なのかなぁと思っていた。

いざ観始めるとオリジナルで。

ちょっと得した気分になった。

この作品を初めて観たのはたぶん中学生の頃。

ジョーズを先にTVで観ていて、

その監督の作品と知り興味を持ったのだと思う。

で、なんか、やたらと怖かったのを、ずっと憶えていた。

もちろんジョーズも怖かった。

つーか、映像としてはジョーズの方が、

ずっと派手だし刺激的だ。

でも、激突の、えも言われぬ不条理さと、

ひたひたと忍び寄る不気味さは格別で。

舞台は昼間の地上。

仕事でも家庭でもパッとしないセールスマンが主人公。

顧客と妻との約束の板挟みに焦り、

のどかな田舎道でトレーラーを何気なく追い抜いた。

そんな身近で自然なシチュエーションが、

彼を地獄へと誘うとも知らず・・・。

さらに、巨大なトレーラーを凶器に変え、

執拗なまでに主人公に襲い掛かるドライバーは、

一度もその姿を見せず、言葉も発しない。

あまりにも理不尽で圧倒的な凶暴さに翻弄されつつも、

なんとか立ち向かう主人公に、

感情移入せずにいられなくなる。

以前、「ロードキラー」を観た時に書いたが、

本作のインパクトが強くて、

いたって冷静に観られてしまったのを思い出した(笑)

https://spiral-world.goat.me/AfzVtgqVnW

激突は50年前に撮影期間16日で作られた。

編集作業から放送まで3週間程度しか確保できない、

低予算のTV用映画だった。

だが、この作品の成功によってスピルバーグは、

業界での知名度と評価を一気に高め、

その後の活躍で映画史に名を残す名監督へと昇り詰めた。

そういう映画を作れる人だけがたどり着ける境地。

いや、その境地に立つ人だけが得られる賞賛と称号か?

いずれにしても、いま観ても、やっぱスゴい。