Spiral-World

めくるめく世界での個人的な日記

56のボッチ飲み

「あら、1人? 珍しいわね。

 と言うか、初めてよね?」

 

スナックのママに言われるまでもなく珍事。

ボクは1人ではスナックに行かない。

 

「オトナになったのね」

 

カウンターでそう冷やかされて、

素直に相づちを打ち笑っているのだから、

確かにオトナになったのだろう。

 

「なにかの会合の帰り?」

 

「うん。ちょっとね」

 

「なによ? 秘密の集まり」

 

「逆だよ。ヒマなオヂサンたちのただの飲み会」

 

しばらくして良い感じのお客さんたちが来て、

カラオケが始まったので退散。

 

と、ママが店先まで見送りがてら、

紙袋を渡してくれた。

 

「来てくれると分かっていれば、

 もっとちゃんとしたの用意したんだけど」

 

なかをのぞくとマドレーヌ。

 

「あはははは。ありがとう」

 

「おめでとう」

 

ほんと、ありがとう。