「忙しいだろうから無理にとは言わないけど」
そう言いながら、
ISMさんは明らかに誘っていた。
「今回の日程だと札幌のどこのホテルもけっこう安いし。
予定変更さえできればなんとかなるはずかなって」
半笑いの声で言う。
悔しいので少し抗議めいたことを言ってみる。
「まぁ、確かにそうですね。
でも、今までなら前泊のパターンですよね?」
毎年11月初旬に開催される道内道業者の会議は、
午前中に始まって昼過ぎに終わる。
ISMさんもボクも札幌まで2時間はかかるエリアなので、
これまでは前泊して一緒に飲むのが通例だった。
ボクはそのつもりでホテルを予約したのだが、
今回は当日泊なのだと言う。
「そうなんだけどさ、
前泊だと結局は仕事してから札幌へ移動して、
しかも翌日の会議のことを気にしながら飲むから、
なんか落ち着かないんだよね」
「そりゃ確かにそうですけど。
約束してたワケじゃないので別に良いですけど、
せめてもう少し前に言ってくれればねぇ」
「あはははは。怒るなって。
ま、とにかく無理せずに」
そう言いながら、
半笑いの声で明らかに誘っていた。
くっそー。
なんとかしてやる。