知人たちとうなぎを食べてから飲んだ後、
一人になりたくてすすきのへ。
ISMさん御用達のクラブへふらりと立ち寄ると、
混み合う店内にママが席を作ってくれた。
「お一人で来て下さるなんて珍しいですね」
「急にごめんね。ちょっと飲んだら帰るので」
もう少ししたら空くからと、いったん席を離れ、
ほどなくまた戻ってこられた。
「ちょっとひと休みさせて頂けますか?」
珍しく混んじゃってと言ってグラスにお酒を注ぎ、
おいしそうに飲んだ。
こういうさりげない気遣いは、
飲み屋がひしめく激戦区すすきので、
生き抜いて来られた女性ならではの技。
ISMさんが通い続けるのが分かる。
「今夜はなんだか慌ただしいですね」
とりとめのない会話を交わし、
ママが再び席を立ったところで店を出た。
今夜のホテルは少し離れている。
歩道が滑って怖いが、
ゆっくり歩いて行こう。