初めの10ページで読むのをやめた。
いや、止めた。
あくまで個人的な見解だが、
この世のありとあらゆる本は、
3種類に分けることができる。
まず、読むのが楽しい本。
次が、読むのが苦痛な本。
最後が、読む価値のない本。
又吉直樹さんの「火花」は読むのが楽しい本だ。
先日読み終えた「夜は短し歩けよ乙女」とは、
かなり違ったアプローチだし、
それに優劣を付けようなどとは思わない。
どちらの作品にも共通していると感じるのが、
文章表現に対する貪欲さだ。
例えば、「夜は短し〜」での古本市のシーンは、
絵画で言うならスーパーリアリズム。
ご自身がよっぽど古本市に精通されているか、
綿密な取材をされていなければ、
ああいう雰囲気を文章で再現し、
それを読者に伝えるのは不可能だと思う。
「火花」の冒頭の出会いのシーンも同様で、
漫才師という変わった生き物の特性を、
素人にもとても解りやすく文章化されている。
この本はなんとなく読んじゃダメだ。
ちゃんと向き合いたい。
だから、今度の神奈川での仕事の合間に、
集中して読もう。
そう思った。