この試合がラスベガスで開催されたのは、
村田の商品価値を高めると同時に、
その先のビッグマッチを視野に入れてのこと。
先月、王者から陥落したゴロフキンとの対戦が実現すれば、
どちらが勝とうともプロモーター的にはウハウハ。
「土曜日の試合が終われば、
ゴロフキンと早い時期に対戦できるように交渉を始めたい。
早くて来年の1〜3月くらいになるだろう」
18日の会見時に何度も繰り返した。
だが、そうした興行的な仕掛けを除いても、
WBAが指名する挑戦者との2度目の防衛戦は、
日本人王者が激戦区のミドル級で、
また、ボクシングの本場・アメリカで、
その真価を証明するために不可避な舞台でもあった。
しかし、終わってみれば110-118、109-119×2の0ー3。
大差の判定で同級3位のロブ・ブラントに敗れた。
試合を観ていないので詳細に触れようもないが、
この結果を「まさかの」と報じる多くのニュースに、
違和感を覚えた。
もちろん、村田を応援していたし、この結果を残念だと思う。
でも、ミドル級タイトルマッチで、しかも、指名試合となれば、
彼が負ける確率は低くないと思っていた。
そのくらい、ミドル級には世界中から優秀な選手が集まっている。
その中で村田が世界チャンピオンになった事の方が、
「まさか」な事件だったはず。
「今回の防衛は楽勝で、来年早々にゴロフキンと」
いつからそんな既定路線が生まれたのか、
不思議でしょうがない。
ともあれ
若々しく見える村田だが、もう32歳。
パワーとスピードと併せ持つ強者がひしめくミドル級で、
どこまでやれるのか?
その難しさを一番知っているのは村田自身だろう。
とにかく今はゆっくり休んでほしい。