地元で舞台作品を観てから馴染みのバーへ。
いつにも増して客がおり賑やかな店内。
それもかなりヒートアップしている。
「わざとズラして来たんですか?」
熱を帯びた声のバーテンがイタズラな表情で言った。
それで状況が掴めた。
ラグビー日本代表がベスト8をかけて闘っていたのだ。
「この感じだと勝ったんだね?」
「え”え”ぇっ!? ホントに観てないの?
すごかったですよ日本代表。
勝っちゃいました。スコットランドに」
冷めやらぬ熱気に触れて思う。
スポーツや音楽が単なる娯楽ではないことを。
「この有事に不謹慎」
そう言って顔をしかめる人も少なくないと思う。
事実、今回の台風で被災された方々には、
ラグビー観戦に興じる余裕など無い。
でも、これまでも災害や戦争など多くの困難に遭っても、
スポーツや音楽などの芸術が消えたことはない。
阪神淡路大震災があった1995年のオリックス・ブルーウェーブは、
日本一こそ逃したがリーグ優勝を果たしている。
なでしこジャパンが優勝をした。
単なる偶然。
そうかも知れない。
でも、心に射し込む光とは、そんなものだ。