身体も心も震えた。
井上尚弥 VS ドネア。
ボクの予想を遥かに超える結末となった。
2Rには互いに得意の左フックできっかけを掴んだが、
ドネアはふらつく程度。井上尚弥は右瞼をカット。
その後の試合の流れを左右するラウンドとなった。
それ以降、一進一退の攻防を繰り広げる両者。
不自然に見開いた井上の右目は眼窩底骨折を思わせたが、
ガードを高く保ちながらも前に出る。
5Rにはドネアをふらつかせるが、倒しきれず。
一方のドネアも手負いの若き怪物を仕留めきれない。
軽量から体重を戻しすぎたのかキレが無い。
しかし、それを補って余りある老獪さで、
ジワジワと井上を消耗させる。
8Rと9Rでドネアの右がクリーンヒット。
ふらついた井上はたまらずクリンチ。
その直後、井上は左右のグローブを強く叩き合わせ、
ドネアに「来い」と手招きをした。
それは、相手への挑発と言うよりも、
自らの怯えを振り払おうとしているように見えた。
いずれにしても、初めて見る井上の姿。
自ら仕掛けきれないドネアをいなし、
10R序盤をうまく凌ぐと井上が反撃。
11Rには左ボディでダウン(?)を奪い、
10カウントかと思いきや続行。
12Rは互いに死力を尽くして打ち合い、
ゴングと同時に笑顔で抱き合った。
「互いの想いがぶつかり合う瞬間がある」
試合前に流されたインタビューで井上尚弥はそう語った。
まさに、その通りだったし、
そのぶつかり合いは怪物同士の戦いにふさわしく、
素晴らしく、スゴかった。
おめでとう、井上尚弥選手。