「分かった。幹事に話してみるよ。
でも、あんまり期待はしないで」
後輩からの電話を切った後、憂鬱になった。
一緒に所属している団体の、
COVIT-19に対する対応についての相談だったから。
「集まりたい人が出席するのは良いんです。
ただ、この状況が落ち着くまでは参加したくないって人に、
普段どおりのペナルティが課せられるのは、
ちょっとおかしくないですかね?
もっと言えば、ご高齢のメンバーに何かあったら、と」
後輩が言うのは最もだ。
他団体がことごとく会合を中止いている中で、
なぜかボクらの団体だけは頑なに例会を開催し、
平常時と変わらない規約で運用されている。
それに至った状況が想像できるだけに、
気乗りしないまま幹事に連絡をする。
要件を伝えると、ため息が漏れた。
「やっぱり耳に入った?
無責任に聴こえるだろうけどボクも決めてほしいよ」
板挟みになっているのは分かっていた。
ただ、伝えないわけにも行かない。
いま、この瞬間、
世界中にそういう人が溢れているんだろうなぁ。