「あら、ごぶさただわね」
おかみさんが変わらぬだみ声で迎えてくれた。
「今日はお休み?」
「ううん。免許の更新」
「えっ、わざわざ来たの?
時間は掛かるけど地元でもできるでしょ?」
「そうなんだけどさ。ここのミートが食べたくて」
「あら。私に会いたくてじゃないのね?」
「あはははは。
もちろんそれが一番だけど、照れ臭くて言えないわ」
「どうもありがとう」
いや。ホントなんだよね。
ここの鉄板ミートは、ふと食べたくなる。
そして、おかみさんのだみ声を懐かしく思うことがある。
2年前に初めて来てから今回で3、4度目。
だが、2度目の時からボクを憶えてくれていた。
しばらくすると鉄板ミートが到着。
じゅうじゅうと音を立てているパスタに、
ソースを手早く混ぜ合わせる。
「熱いからやけどしないようにね」
は〜い。いただきます。
昭和の薫りがプンプンと立ち込める店内で、
昭和チックなミートをほおばる。
あぁ、幸せだ。