Spiral-World

めくるめく世界での個人的な日記

完敗

「oh no kidding!  You're not kidding!!

英語は苦手だが、その意味は理解できた。

「え、ちょっと待って! ウソだろ?」

たぶん、そんなニュアンス。

IBFWBA世界Sバンタム級タイトルマッチ。

IBF同級暫定王者で挑戦者の岩佐亮佑が、

TKO負けを喫した瞬間に実況と思しき男性が発した言葉だ。

1Rは互いに様子をうかがいながらも、

岩佐は右ジャブを中心に時折左ストレートを繰り出した。

しかし、2R以降は王者のアフマダリエが圧力を強め、

それに岩佐が押されるパターンが続いた。

特にTKOとなった5Rは開始15秒あたりで王者のアッパーがヒット。

岩佐も何度かパンチを繰り出すも力なく、ロープに詰められた。

だが、激しくグラついたり、腰が落ちかけたわけでもなく。

ストップは明らかに早かった、ように思えた。

「おい、レフェリー、なに止めてんだテメぇ!」

ホームタウンディシジョンを疑い、

普段ならTVに向かって罵声を浴びせるところだが、

今回に限っては「えー。マヂか・・・」で終わった。

と言うもの、

この試合での岩佐には本来のキレやスピードはおろか、

闘志すらもほとんど感じられなかったからだ。

5Rのレフェリーの動きを追いかけると、

開始30秒あたりで岩佐が数発のパンチを受けてから、

終始、彼の表情を確認するためにポジショニングし、

状態を読み取ろうとしているのが分かる。

そして、1分20秒あたりからアフマダリエがパンチをまとめ、

ロープに追い込んだところでストップ。

その一連の流れを何度か観ると、開始30秒あたりからの岩佐は、

それ以前に増して動きが鈍くなっている。

ベタ足で両膝も伸び切った棒立ちとなり、

繰り出すパンチには当然スピードもキレもなく。

さらに、1分20秒あたりで王者が繰り出した、

コンパクトで鋭い左アッパーのカウンターが岩佐の右顎を捉え、

それをきっかけにラッシュが始まりTKOに繋がっている。

岩佐本人や陣営は後半勝負とのプランだったのかもしれない。

アウェーだからこそ気負い過ぎないように、

あえて淡々と闘ったのかもしれない。

だが、WBAIBF世界Sバンタム級統一王者は、

そうした思惑が付け入る隙をまったく与えなかった。

闘志を剥き出しにし、

躍動感溢れるボクシングで見事にベテランを圧倒した。

その姿は、むしろ挑戦者のようだった。

もちろん岩佐を応援していたし、勝ってほしかった。

だが、厳しい言い方になるが、

遅かれ早かれKOされただろうし、

たとえ判定に持ち込めたとしても、

今日の岩佐が勝つ姿を想像できなかった。

距離を取るスタイル故に、ともすれば消極的と言われるが、

岩佐はキャリアの中で何度も激しい打ち合いを演じている。

今日の岩佐はキレやスピードや闘志が無かったのではない。

悔しいが、岩佐が岩佐らしい闘い方ができないほど、

歴然とした実力差があったのだと思う。

ダメージの蓄積? 戦意喪失?

いずれにしてもレフェリーの判断は間違っていないと思う。

岩佐選手、おつかれさまでした。

いまはゆっくり休んで下さい。