「いやー、ホッとしたぁ」
KYSが喜んでくれているのが声からも分かる。
「実は走り始めてからもずっとビクビクしててさ」
そう。コイツはけっこうな心配性。
やたらと度胸が座っているかと思えば、
いろんなことに気を使ったり・・・。
「言わせてくれ。
55にもなってもう一度バイクに乗ろうってヤツが、
それを他人に試乗させて、その印象だけで買うって、
かなりおかしいだろ?」
「うん。そうかもね。
でも、結果的には良いバイクだったんだから、
問題ないでしょ」
「なんか、解せないんだけど(笑)」
7年もバイクから離れていたオレが乗るより、
大型免許を取ったばかりのKYSが試乗したほうが、
はるかにいろんな事が分かる。
そう言って任せた。
その結果、どんなバイクであろうが、
走っている途中で事故ろうが、それはオレの責任。
「お前はそれで良いかもしれんが、
何かあった時のことを考えてヒヤヒヤしたんだよ」
「ま、それも、今日で終わり。
信頼してるバイク屋さんのお墨付きもらったんだから」
わはは、と笑うオレに、冷たい声で言う。
「ほんと、解せないんだけど」
ありがとう。
大切に乗るよ。