Spiral-World

めくるめく世界での個人的な日記

拾う神

けっこう揺れながらも無事に羽田に。

電車で移動しながら、

先日のとてもうれしかった出来事を思い出した。

先輩とのリベンジツーリングで、

大きな温泉街を通過した時のこと。

すぐ後ろを走っていたレンタカーの運転手が、

信号待ちでクルマから降りるのがバックミラーで見えた。

「何してんだろ?」

どこかでタヌキかキツネでも飛び出して来て、

引っ掛けたか確認してるのかな?

その男性はすぐに車に戻り走り始めたのだが、

気になってしばらくはバックミラーをチラチラ見てた。

と、運転席側の窓を開け手を振っている。

「ん? やっぱなんかあったんだ」

そう思って気にしていると、

今度はその手に黒いバッグが・・・。

「あれ? あれれれ?」

ちょっと道幅が広くなったところでバイクを停めると、

その車も停まった。

急いで運転席へ近ずくと若い男性運転手も、

車を降りてきて笑った。

「良かったぁ、気づいてくれて」

その手にはボクの小物が入ったバッグ。

「ありがとうございます」

「お財布とスマホが入っていたので、

 何としても渡さなきゃと」

「さっきの信号待ちの時、

 わざわざ車から降りて拾ってくれたんですよね?」

「あれ? 見てたんですか」

「まさか、自分が荷物を落としたとは思わず。

 すみません」

クルマを見るとレンタカーナンバー。

そして、助手席には彼女と思われる女性。

「楽しいドライブ中に申し訳ありませんでした」

頭を下げてバッグを開けお礼を渡そうとすると、

彼は両手を突き出して振った。

「やめて下さい。ホントに」

スマホと現金とクレカが入ったカバン。

つまり、最低限にして、

いついかなる時も必須なモノ。

そのまま気づかずに走っていたら・・・。

そう思うと背筋が凍った。

ヘルメットをとってもう一度、

深くお辞儀した。

ありがとうございました。