「さすがに野宿はしねーよ」
KYSは呆れていた。
「そんな無茶、したことないし」
「でも、夏場の北海道はかなり混むよ。
無事に目的地に着いたものの、
どこも空いてないってけっこうあるから」
「分かったよ。気にしとく」
ウソだ。こいつ、絶対に気にしない。
「あと、ガソリンは常に満タンくらいの気持ちで。
高速のSAでもスタンド無いとか当たり前だし、
小さな街だと18時頃に閉まったりするから」
「分かったよ。気をつける」
またウソつきやがった。
「左コーナーでは車線中央からタイヤ1本分、
イン側を走るくらいの気持ちで」
「ん? なんで」
お、これには食い付いた(笑)
道内では冬場、路肩に雪を寄せる。
車線の幅が狭くなるだけでなく、
積まれた雪は時間が経つと水分が抜け、
車がぶつかってもビクともしないくらいの氷塊になる。
なので、ドライバーは必然的にセンターライン際に寄る。
そして、その習慣は夏場でも抜けない。
「なるほど。気をつける」
これは響いた(笑)
「あと、路面の轍とうねりと穴ね」
「あぁ、それ、怖いな」
お、これも響いた(笑)
「何にしても、のんびり走るよ。
ちゃんとそっちまで辿り着かなきゃ意味無いし」
その通り。
楽しみすぎて吐きそうだ(笑)