「これで一段落ですかね」
バーのカウンターで乾杯すると、
後輩のEHRクンが言った。
「そうね。ひと安心、だね」
昨年、とある団体の幹事役を受け、
1年間一緒に活動した。
で、今年は新体制のサポート役となり、
昨夜がその最後の会合で。
2次会が終わったところでボクが声を掛け、
付き合ってもらった。
「去年も軽くやりましたけど、
引き継ぎとかが残っていたので気が抜けなくて」
コロナの大流行で日本中が右往左往する中、
ボクらの町でもあらゆる会議や会合、
式典やイベントが中止となった。
ボクらが幹事役をしていた団体もその例にもれず、
事業計画の変更を余儀なくされたが、
EHRクンは最後まで事業開催を諦めず。
休眠モードの先輩や後輩をうまくなだめすかして、
しっかりと感染対策を盛り込んで企画を作り、
感染拡大が一時的に沈静化した秋に、
見事に事業をやり遂げた。
「無理してやる必要はない」
そう言う声がいろんなところから聞こえてきたが、
「あ、大丈夫です。まったく無理しないので」と、
涼しい顔をで乗り切ったのは、見事だった。
そうホメると、彼はにっこり笑って言った。
「『オレたちの役割は、いつも涼しい顔でやせ我慢』って、
一番最初の会議でおっっしゃったのは、
どこの誰でしたっけ?」
そんなこと言ったかな?
ま、確かにそれは、ボクの口ぐせだけど(笑)
そんな話をしていたら、
時計の針は0時を過ぎていた。
ありがとう。