ウィリアム・ハートさんが亡くなられた。
https://www.tokyo-np.co.jp/amp/article/165846
失礼は承知の上だが、
言わずと知れた、との枕詞は大袈裟。
だとしても、ボクにとっては名優。
ウィリアム・ハートさんを思い出す時は、
1986年公開の「愛は静けさの中に」がもれなく一緒。
同年の興行収入ランクでは30位にも入らなかったが、
アカデミー賞で5部門にノミネートされた他、
各映画祭でも多くのノミネートを受けた。
日本の大人気ドラマ「愛していると言ってくれ」は、
この映画(原作)から少なからぬ影響を受けていると思う。
ハートさんはアカデミー主演男優賞にノミネートされるも、
残念ながら受賞はならず。
たが、本作が映画初出演・主演だったマーリー・マトリンは、
見事に主演女優賞を獲得した。
ちなみに、21歳での同賞受賞は史上最年少。
そして、彼女自身もろう者だ。
高い理想を持つ特殊学級の教師と、
その学校の清掃員である女性ろう者が、
さまざまな葛藤を抱えながら愛を育む物語。
最終的にはハリウッド的結末に至るも、
ろう者である上に固く心を閉ざす主人公を演じた、
マーリーは凄まじく。
その熱演に目を奪われがちだが、
感情を爆発させる彼女を相手に、
自らの想いを伝えるハートさんの演技もとても印象深い。
一見、もの静かで穏やか。
でも、情熱や理想や野心を秘めている。
ハートさんは本作以外でも、
そのギャップをとても自然に演じられていたように思う。
ご冥福をお祈りいたします。