写真:Number PLUS「アントニオ猪木 最強の美学」より
アントニオ猪木さんが亡くなられた。
プロレスは好きだったしよく観たが、
猪木さんや馬場さんのファンではなかった。
それでも日本のプロレスにおける、
お二人の存在の大きさはひしひしと感じていた。
あれは3年ほど前だったか、
羽田空港で猪木さんとすれ違った。
背筋を伸ばして力強い足取りで歩いておられる姿は、
遠目にもオーラがにじみ出ており。
「わ。猪木さんだ」
驚き、声を上げ、立ち止まって会釈をすると、
右手を上げて「ども」とあいさつをして下さった。
その当時すでにかなりお痩せになっていたが、
表情はにこやかで凛々しく、
伸びた背筋に仕立ての良いスーツが似合い、
すれ違った後に品のある香水の匂いがした。
時代を象徴する「ヒーロー」であった男の、
立居振舞も含めたダンディズムに、
おもわずウットリしたのを覚えている。
プロレスも格闘技もそれを取り巻く状況も、
刻一刻と変化し続ける現代においては、
馬場さんも猪木さんも、
もう遠い幻想なのかもしれない。
だが、闘う姿によって民衆というか時代を鼓舞した事実に、
心から拍手を贈りたいと思う。
おつかれさまでした。
ありがとうございました。