「今日は北海道にいるの?」
MYSTさんから突然の電話。
「はい。会社にいます」
何かあったのかと一瞬身構えた。
が、次の言葉に安堵した。
「今、すぐ近くの山から下山してる最中で。
札幌に帰ると遅くなるからホテル取ろうと思って。
迷惑じゃなきゃ飲まない?」
MYSTさんとの付き合いは長い。
ボクが北海道に移住した直後からなので、
もう23年になる。
MYSTさんはメーカー販社の社員で、
昨年、再雇用の期間を終えて退職された。
最近はマンションの管理人として働きながら、
休日には山登りを始め、
ボクが暮らす町へもたまに来ていると聞いていた。
「近くに来るなら声を掛けてって、
この前のメッセージで言ってくれたから。
その気になって電話しちゃった」
5月下旬の誕生日に、
確かにそうメッセージを送った。
「ありがとうございます。
誕生日祝も兼ねて、ぜひ一杯やりましょう」
「仕事とか会合とか大丈夫?」
「ヒマだと知ってて電話したでしょ?」
「あはははは。まぁ、ね」
電話を切って、すぐに居酒屋を予約した。
今夜は飲むぞ。