Spiral-World

めくるめく世界での個人的な日記

自由と責任

無事に開放されたのは良かった。

そこに至る経緯はどうあれ。

ただ、彼へのバッシングが起こるのも理解できてしまう。

比べて良いかは判断しかねるが、

キャスターの辛坊治郎がヨットで遭難した時も、

同じようにバッシングが起きた。

両氏への攻撃にはほぼ「自己責任」との枕詞が付き、

その根底には無謀で無自覚で無責任で、

エラく人騒がせな行動への強い怒りと呆れが含まれ、

さらに国費での救出が更に火を大きくしているようだ。

でも、だ。例えば、だが。

日曜20時からの人気バラエティ番組で、

ほぼ冒険家として活躍する彼女が番組収録中に誘拐され、

その救助に国費が投入されるとしたら、

世間はどんな反応をするのだろうか?

安田さんは戦場へ。

辛坊さんは大海原へ。(もう行かないだろうけど)

彼女は世界の名峰や秘境へ。

お三方ともそれぞれ立ち位置が違い、知名度も違う。

そして、その活動の趣旨もきっと違うのだろうけど、

みなさんが抱えているリスクは、ほぼ差がないように思う。

安田さんは政府の制止を無視して紛争地帯へ入国し、

そこで人質となった。

それは単なる事故や事件にとどまらず、

新たな国際的紛争の火種になる可能性すらあった。

それだけに他のお2人とは状況や影響がまったく違うが、

かと言って、辛坊さんや彼女が、

海外でそうしたトラブルに巻き込まれないとは言い切れない。

他方で安田さんを擁護する報道関係者たちの論調に、

「紛争地での報道には価値がある」との含みを感じるが、

それをあまりに強調するのもどうかと思う。

仕事内容によって価値や尊さが変わり、

受けるべき保護も変わるとの考えは、

すなわち差別だからね。

「どんな職業であれ、どんな人であれ、どんな思想であれ、

 国民が危機にさらされているのなら、

 日本は国家として全力でその危機から国民を守る」

危機にさらされた人への個人的な好き嫌いはともかく、

その原則は守られるべきだと思う。