「今年こそ行くか」
TORさんがそう言ってくれたのは2年前。
ボクがまだ行っていないと知っていて、
気を使って下さっての言葉。
だが、その後すぐにコロナが蔓延。
なかなか実現しなかった。
先日、打合せをした時にTORさんが言った。
雨はもちろん、チラつく程度の雪でも決行しようと。
「今回を逃すと、もう行けない気がする」んだとか。
「念願が叶うな」
海沿いの町で休憩。
残りはボクが運転する。
「でも、何も無いんでしょ?」
「オレが行った頃は、まさに歌の通りだった」
途中でそうした雰囲気は少しだけあったが、
点在する町には、その規模に見合った機能と活気を、
ちゃんと感じ取ることができた。
で、結局、その雰囲気は変わらぬまま襟裳に到着。
「ぜんぜん何も無くないじゃん。
つーか、むしろ、けっこういろいろありますよ」
「うむ。確かにいろいろあるわ。
なんせ、オレが来たの40年以上前だからなぁ」
岬の食堂で何度もリピートされる、かの名曲。
寿司をつまみながらよくよく聴いてみれば、
ちゃんと歌っている。
「『襟裳の春は』何もない春です』