気温は高くないが、晴れているので救われる。
もう少し早く出発しようかと思ったが、
過剰に寄り道して本番前に疲れては無意味。
なので、長い峠道をのんびり走り、
現地で給油と夕飯を買う余裕は持てる程度に。
それでも幾分早めに港に着きそうで、
道の駅で休憩を兼ねた時間調整。
バイク用のスペースには多くのライダーがおり、
春の午後の賑わいを醸していた。
コーヒーを飲みタバコを吸ってバイクに乗ろうとした頃、
古いカワサキ車が入って来た。
その車体があまりにもキレイで見惚れていると、
60代後半と思しきライダーがあいさつしてくれた。
「古いバイクだから手入ればかりで、
なかなか走れないんだよ」
「カワサキのバーチカルツイン、ですよね?
現物は走ってるのは初めて見ました。
やたらキレイですけど何年式ですか?」
「73年。もう50歳だな。あんたのは?」
「ぜんぜん手入れしてなくて汚いですけど22歳です。
半分くらいですね」
「排気量もちょうど半分だしな(笑)」
聞けば長いこと10台近いバイクを所有して、
やれる整備は自分で手を入れをしてきたが、
数年前にほぼすべてを処分し、
今はこの1台だけに乗っていると言う。
「これからまだ走るの?」
「フェリーで秋田へ向かいます」
「お、本州を走るの? いいねぇ。楽しんで」
ありがとうございます。
いってきます。