葬儀のお手伝いの後、
MSKさんと馴染みのバーへ寄ることに。
「不謹慎と思われないかな?」
常識人のMSKさんは、
周りの目が気になるご様子。
「関東の通夜では参列者に食事やお酒が出され、
それに手を付けないのはかえって無礼なんですよ」
「知ってます。
でも、ここは関東じゃなく北海道ですから」
そんなやり取りを経て、献杯。
MSKさんと故人の父親は同級生で、
大人になってからもずっと仲が良く。
お子さんたちの年齢が近いことから、
家族ぐるみでのお付き合いがあった。
「よそ者のボクがメソメソしちゃダメですね」
ボクがそう茶化すと、真剣な顔で言った。
「今日に限ってはその冗談はやめて」
結婚式や葬儀のお手伝いを、
近親者以外に頼むことはない。
それが北海道ルールなのだと、
ずいぶん前に教えられた。
そんな話をしながら、
ボクらは静かに呑んだ。