「いよいよ今週末なんだよ」
乾杯してすぐにKYSが切り出す。
ヤツが唐突なのは昔からだと先月も書いたが、
今回は4日後の話。
「ん? テニスの大きな大会だっけ?」
「あれ? 話してなかったっけ?
STKの結婚式だよ」
STKとはKYSの次女。
近いうちに結婚するとは聞いていたが、
今週末ってのは初耳だな。
「先月に話さなかったっけ?」
コイツ、ワザと言わなかったな。
俺がお祝いだのと騒ぐのをイヤがったんだ。
「これでようやく肩の荷が下りるわ」
家族をとても大切にしていたので、
ちょっと分かる気がする。
「自分が死ぬまで子どもの心配をするんだろうけど、
ひと区切りって実感はあるな」
来週には奥さんの命日が来る。
それを意識したのかとは、訊けなかった。
しんみりしそうな雰囲気だったので、
KYSの肩を叩いて言った。
「これから祝儀袋買ってくるので、
STKに渡してくれるか?」
「いや、けっこうです」
あぁっ!
コイツやっぱ、わざと黙ってやがったな!