「なんにしても、大過なく。良かったです」
カウンターに並んでむしゃり、むしゃり。
天丼を頬張る。
先日、あるミッションを終えたので、
その慰労も兼ねてTNYMくんをランチに誘った。
共通の後輩でもある店主が、
カウンター越しに冷やかす。
「珍しいですよね、お2人で来てくれるの」
TNYMくんが即座に答える。
「オレ、嫌われてるから、この人に」
そういうアタマの回転の速さは、
ホントにスゴイなコイツ。
「そう。だから、今日もたまたま。
なんで隣に座るかなぁ、この人」
ボクも負けじと言い返す。
「ま、似た者同士でごゆっくりと」
苦笑いしつつ、店主は厨房に消える。
大人だ。
一番年下なのに、彼が一番大人だ。
「ま、でも、これでようやくスタートですね」
「うん。ここから、どうつなげるか」
先日ボクらがしたことは一切、表には出ない。
でも、きっと、いつか、実を結ぶ。
「じゃあ、今度はススキノの高級クラブで、
接待して下さいね」
別れ際、TNYMくんが笑う。
そんな日は絶対に来ないと知っていながら。
腹黒だわ。