スポーツ報知 写真:渡辺了文
激闘だった。
昨夜の寺地拳四朗の試合は、
観ているだけなのに、
何度も声を上げてしまうほどの激しい打撃戦だった。
王者である寺地拳四朗と、
同級WBA1位・WBC2位のカニサレスが対戦。
カニサレスは29戦26勝2敗1分け。
26勝のうちKOは19の強者。
だが、戦前予想では、
総合力で勝る寺地が難なく勝つとの見方が強かったし、
ボクも中盤から終盤にかけてのKO勝利を予想していた。
なので、2回に寺地が最初のダウンを奪った時には、
これは序盤でKOだなと楽観していた。
だが、それからのカニサレスが強かったこと。
攻守のバランスやペース配分も含め、
寺地をしっかりと分析して対策を練ったのだろう。
3回には右カウンターでダウンを奪い返し、
その後のどのラウンドでも終盤になると反撃し、
かなり寺地を追い詰めていた。
矢吹に敗れてからは積極的な打ち合いをいとわず、
KO勝利を狙う闘い方を見せてきた寺地だが、
11Rと12Rはフットワークを駆使して挑戦者をかわした。
その結果、ジャッジの1人がイーブン、
残る2人が寺地を支持しての判定勝ちとなった。
素晴らしい闘いを観せてくれた両者に感謝するが、
試合全体を通して気になることが1つあった。
寺地のフットワークがぎこちなく見えたのだ。
それが寺地のコンディションによるものか、
カニサレスの闘い方によるのかは分からないが、
いつもの小刻みで速い独特な足運びが、
昨夜の寺地には見られなかった。
いずれにしても、カニサレスが強かった。
そして、それを退けた寺地はもっと強かった。
寺地選手、おめでとうございます。