
高知と徳島の県立美術館が所蔵する油彩画に、
贋作の疑いがあると知った。
問題の絵画はドイツの画家、
ハインリヒ・カンペンドンクの作として、
名古屋市内の画廊から1,800万円で購入し、
所蔵してきた。
ところが昨年6月、その絵画「少女と白鳥」は、
天才贋作師と呼ばれる人物の、
贋作リストに載っていることが判明。
同館が京都大学の専門家に調査を依頼していた。
「少女と白鳥」の制作年は1919年とされるが、
使われていた絵の具のうち4種類は、
1930~40年代以降に普及した物と判明。
いずれも贋作師が使う頻度が高い絵の具だという。
徳島県立近代美術館が所蔵する、
ジャン・メッツァンジェの絵画「自転車乗り」も、
同じ贋作師の作品ではとの疑惑が持ち上がっている。
同美術館は大阪の画廊から6,720万円で購入。
常設で展示したり、
ほかの美術館に貸し出すこともあった。
そうした騒動を目にし、
「鑑定眼が足りない」と笑い飛ばす向きもあろう。
だが、『少女と白鳥』は、
世界最古の歴史を誇るオークションハウス、
「クリスティーズ」に出品されたもの。
世界の名だたる名品を競売にかけてきた老舗が、
「贋作の可能性はない」と判断し、
出品を認めるほどの完成度だったということだ。
天才贋作師と称されるのは、
ドイツのウォルフガング・ベルトラッキ。
過去に数々の贋作を描き、
10億円以上をだまし取った罪などで、
2011年に懲役6年の判決を受けている。
本人は今回の問題発覚後、複数の日本メディアに対し、
徳島と高知の2作品は「私の絵だ」と主張。
また、1970年代から約300点の贋作を手掛け、
「画家の数は120人だ」と豪語している。
彼の証言の「真贋判定」はどうあれ、
この2つの作品には、
単にニセモノと切り捨てられない力があるという。
「彼は真作を模写するのではなく、
有名作家の“存在が確認できない作品”を創り出す。
画集などから描き方を“自分のもの”にして、
その画家の手法でまったく新しい作品を創作する」
高知県立美術館:奥野克仁学芸課長
鑑定眼と審美眼。
絵心は皆無だが、言葉の意味の違いは分かる。
鑑定的には贋。審美的には真。
そのレベルに到達した作品を、
観てみたいとボクは思う。