「今日は何時頃に出るの?」
ファミレスでモーニングを食べながら、
オフクロが訊く。
「昼過ぎに一度戻って車を置いて、
それからまた打合せだね」
「私はそのころ講習会に出ていて。
見送りできないかなぁ」
「見送り? なにそれ? しなくていいよ」
でも、とか、だけど、とか、はっきりしない。
で、よくよく聞いてみたら、
2度目のコロナワクチンを打った後に、
えらく具合が悪くなったという。
なので、できる時にしっかりと見送りたいと。
80歳を超えたので、
いつ何があってもおかしくはない。
でも、それにしたっての唐突さ(笑)
医療は命を救う。
オフクロたちはそう信じられた世代だ。
それまで多くの人が亡くなった病気やケガなどが、
医療の進歩で救われるようになったのを、
目の当たりにしてきたのだから、
そう思うのはある意味、必然なのだろう。
できればずっと健康であってほしいし、
少しでも元気でいてほしい。
だが、治療や薬などがいかに進歩しようとも、
永遠の命はそもそもあり得ない。
そんなことはオフクロも承知の上。
なので、厄介。
よって今朝も寿命をめぐる親子の口論が尽きない(笑)