「ゼッタイにわざとだべ?」
ICMRさんは電話口で不機嫌だった。
ICMRさんが語尾に「べ」を付けて話すのは、
すごく機嫌が良いか悪いかのどっちかで、
今日は後者だ。
「違いますって。
新しいバイクの納車が今日あたりだろうから、
明日なら一緒に走れるかなって」
「オレが明日は接待ツーリングで、
そっちに行けないの知ってて電話してるべ?」
「接待ツーリング? なんすかそれ?」
あぁ、そうか。
あの、例の、セレブライダーズと、
ご一緒に走られるんですね?
そう思って、つい鼻で笑ってしまった。
「あ、お前、いま心の中でバカにしたべ?
金持ちヂヂイどもとダラダラ走ればいいべやって」
「あはははは。思っちゃいました。
新車のタイヤは当たり前に新品ですから。
くれぐれも滑らないように」
くだらない話しを終えてから、
道の駅でソフトクリーム食べて、
今日もライダーの義務を果たした。
で、バイクの駐車帯へ行くと、
XJR1300が隣に停まっており、
ライダーがタバコを吸っていた。
同じ年代の色違いで、
かなりカスタムされたキレイな車輌。
聞けば、車検も含め、
整備もカスタムもご自身でやっているそうだ。
「整備と洗車ばっかで、ぜんぜん走ってない(笑)」
クラッチレリーズやフロントフォークのオイル漏れは、
XJR1300に共通した泣き所のようで、
そのライダーさんも常に気をつけていると言う。
「あと、ヘッドカバーからのオイル漏れもね。
オレは去年ガスケット交換した」
「ボクはつい最近レギュレーターがパンクして。
部品交換で¥40,000くらいでしたよ」
「うおっ! それは痛いね。
このバイクのユーザー車検より高いわ」
同じ車種のバイク乗りだからでは無いだろうが、
反応が似ていて笑った。
「最近、XJR1300乗りの人と話す機会が多くなって、
すごくうれしい」
ボクが言うと、彼も頷いた。
「見かける回数が増えたかも。
車体が安い割にけっこう良い走りするから、
見直されてるのかね」
その後、コンビニで昼を食べて無事に帰還。
気持ち良く楽しい散歩だった。
※本日の走行距離は約120km