「ものすごく時間がかかっていて、
裁判所として本当に申し訳なく思っています」
9月26日、静岡地方裁判所は、
袴田巌さんに対して無罪を言い渡した。
國井恒志裁判長は、
出廷を事実上免除された袴田さんに代わり参加した、
姉のひで子さんをすぐそばに呼び、
声を震わせ、言葉に詰まりながら謝罪した。
「確定するにはもうしばらくお待ちいただきたい。
真の自由までもう少し時間がかかりますが、
ひで子さんも末永く、
心身ともに健康であることを願います」
袴田さんの逮捕から実に58年、
21,225日目での無罪判決となった。
冤罪だけであってもかなりのダメージだが、
袴田さんは最高裁判所での死刑確定から44年間、
執行の恐怖に怯え続けた。
その日々は筆舌に尽くし難い。
あまりにも遅きに失したが、
苦痛から開放され、
名誉が守られたことには大きな価値がある。
袴田さんを支え、
共に闘い続けてこられたひで子さんと、
支援者のみなさんに心から敬意を表したい。
おめでとうございます。
おつかれさまでした。
死刑判決が再審で無罪となるのは、
今回が35年ぶりで5度目。
この事件については、
一応の決着は見えたのだろうが、
根本的な問題については、
まだ何も解決していないように思う。
死刑制度については後日書く。