「ご迷惑かなと思ったんですけど来ちゃいましたぁ」
ビジネスパートナーであるメーカー販社の担当者は、
言葉ほども悪びれた様子もなく、
ボクの部屋に上がりこんできた。
その後に続く言葉は予想できたので、
わざと食い気味に言った。
「とっても迷惑です」
お会いできずに年を越すのは居心地が悪い。
その気持はよく分かる。
だが、これだけ騒いでいる時期に堂々と来られると、
ちょっとイヂワルしたくなる。
「コロナは怖いですけどね。
かと言って年末のご挨拶抜きってありえないし」
敵もさるもの。
ボクの言葉をガン無視で話し始める。
「これを無事に終えてこその年末年始ですからね」
普段はちゃらんぽらんなクセに、
仕事と取引先に対してはやたらと愚直な人たち。
だからこそ、長年に渡ってパートナーでいられる。
「お顔も観られたし、帰りますね」
例年なら1時間は話していくのに、
今年の滞在はわずか20分ほど。
「また一杯やりましょう」
そう言うと次の目的地へと向かっていった。
ありがとうございます。