「今夜の秋田港からのフェリーに乗れば、
ボクの旅は終わりです」
磐梯吾妻スカイラインを走って浄土平での休憩中、
道内ナンバーのバイクを見つけた。
タンデムシートには大きな荷物が載せられ、
目立つ場所に「バイクで日本一周」と書かれた札。
思わず「これからどちらへ?」と声を掛けた。
てっきり旅が始まったばかりなのかと思っていたら、
大詰めも大詰めの最終日だという。
「ずっと走り続けていたわけじゃなくて、
途中の街にバイクだけ置いて北海道に戻ったり。
なんだかんだで足かけ4年くらいです」
「走り続けるのも大変だろうけど、
そのやり方でモチベーションを保つのは、
かなり大変じゃなかったですか?」
「そうでもないっすよ。
バイクを放置することはできないんで、
戻るのが当たり前でしたね」
「いやいやいやいや。
オレなら100%途中棄権してますよ。
スゴいです。よくやり遂げられましたね」
やたらと騒がしいヂヂイを横目に、
彼は照れくさそうに言った。
「しばらくは道内を走ろうと思います。
まだ行ってない所がたくさんあるので」
「ボクも道内でまだ走ってない所がたくさん。
お互い走っていれば、
きっとどこかでまた会えますね」
「はい。また、どこかで」
また一つ楽しみをもらえた。
ありがとうございます。