Spiral-World

めくるめく世界での個人的な日記

2024GWツーリング afterward#2

蔵王へ向かう途中で休憩した時のこと。

 

駐車場の隅でKYSとタバコを吸っていると、

3歳くらいの女の子が1人で歩いているのが見えた。

 

GW真っ最中で、

駐車場はかなりのクルマが出入りしているが、

その子のまわりには見守る大人の姿が見えず。

 

さらに、

女の子が駐車中のクルマの間から車路へ進もうとし、

そこをクルマが通過しそうになったので、

両手を大きく振りながら急いで駆け寄り、

クルマに停まってもらった。

 

「何か探してるの?」

 

しゃがんで声を掛けると、黙って首を振る。

怖がられているのは明らかで、

無理に移動させようとすれば、

もっと怖がらせてしまう。

 

一緒に駆け寄ったKYSが察して、

ボクと女の子を避けるよう、

ドライバーに話してくれている。

 

「おじさんさ、猿を探してるんだけど、

 どこかで見なかった?」

 

女の子がボクの目を見てくれた。

 

「お猿さん? いるの?」

 

「人と話せる猿が向こうにいるって聞いたんだけど、

 おじさん、ここに来るの初めてでさ。

 1人じゃ迷っちゃうから一緒に探してくれる?」

 

ボクが指差したレストランがある方向を見て、

女の子は少し迷ってから「いいよ」と言った。

 

「ありがとう」

 

そう言ってボクが手を差し出すと、

女の子は手を握ってくれた。

 

「パパとママもお猿さん探してるのかな?」

 

何も答えない。

 

「あっ、パパとママは君を探してるね」

 

「ううん。探してない」

 

その答えを聞いた時にイヤな感じがしたが、

そういうことを含めた焦りを悟られないように、

女の子のペースでゆっくり話しながら歩く。

 

駐車場からレストランへ登る階段に着いた頃、

30代前半の男性がのんびりと降りて来て、

ボクと女の子を見て言った。

 

「あぁ。こっちに来ちゃってましたか」

 

その話し方はまるで、

自分が見失ったボールを拾った相手に言うようで。

そして、女の子も無反応だったので、

彼が父親だと気づくのが少し遅れた。

 

「やっぱりパパが探してくれてたね」

 

ボクと繋いでいる手を渡そうと差し出すと、

女の子は父親の手を払い除け、

またボクと手を繋いで言った。

 

「お猿さん探そうよ」

 

ここも無理をしない方が良いなと思い、

父親に目配せをして女の子と一緒に階段を登り、

レストランの周りを少し歩いた。

 

「ここはずいぶん広いから、

 パパと2人で向こうを探してくれる?

 おじさんはこっちを探してみるから」

 

そこで父親が「ほら、向こうを探そう」と言い、

女の子はボクの手を離した。

 

「おじさん、迷子にならない?」

 

その言葉を聞いた時に、

不覚にも泣きそうになった。

 

「ありがとう。大丈夫だよ」

 

ほら、ありがとうって。バイバイって。

父親にうながされても黙ったままの女の子の髪を、

何度かなでて整え、その場を離れた。